第1志望校を落ちた(/ _ ; )! から『天職』に出逢った話し
6年前の話しの実例を基に、あらためて“進路選択”“志望校選定”の起点を考えてみたいと思います。
その年の4月になって、TM君がお礼に来ました。
『今年から念願の社会福祉の施設に就職することができて、
今はやりがいのある仕事を楽しくやっています。』
彼との出会いは遡ること5年前
彼の母親と私が以前からの知り合いでした。受験シーズン真っ盛りの2月、『うちの息子が大学受験しているんだけど、落ちまくって、古堅さん、何とかしてー』と懇願され、さっそく、本人と面談することになりました。
いざ会って、受験状況を聞いてみると、その時点で、既に3校落ちていて、4校目の受験も厳しい予感が満載でした。
原因はすぐに分かりました。
時に、偏差値(難易度)より重視しなくてはいけない『受験倍率』
彼が受験していた大学、学部は全て倍率の高い、所在地が都内の心理学部でした。その当時の心理系の学部は、今ほど多くはありませんでした。受入れが少なく、希望者が多い状況であれば、受験倍率・入試倍率は上がります。
まして、日を経るほど、必然的に上がるようになっている仕組みです。(受験回数を増やす学部・学科増え続けている今日ではなおのことです)
仮に、同分野で入試日順に、A校定員20名、B校10名、C校20名あったとします。
A校20名に対して30名受けました(倍率は1,5倍です)。落ちた10名は次にB校も狙ってきます。しかし、B校を第一志望にしている人は10名いました。当初のその人たちの推測では、“専願は10名程度らしいので、1倍の倍率で楽勝かな!?”と思いきや、A校不合格組が10名流れてきたため最終的には受験者が20名となり、2倍となりました。と、いうことならばC校は・・・
というように、心理学のように人気学部で、かつ学部設置をしている大学が少ないのであれば、入試日が遅い学校ほど受験者が、倍率が、雪だるまのように増えていきます。
受験生にとっては、受験日が近づくにつれ、偏差値の数字よりも、倍率の数字の方が、より高いストレス要因となります。
ということで、このTM君の偏差値から鑑みて、後期日程になる受験校ほど、倍率という壁が立ちはだかることは、容易に想定されました。
人気に左右される“倍率”や合格し易さの“偏差値”といった『数値』ではなく、“進路選択”の原点に立ち還る
進路選択を考える時、原点とも言える意識に還るためのキーフレーズがあります。
≪何をやりたいの?何になりたいの?≫
どの大学に行きたいの?という、いわゆるブランド志向に偏った刹那的なポイントではなく、卒業後の就職までも広げたゴール設定です。
まずは、そこから切り込んでみました。
心理学部希望とのことなので、なりたいのは、てっきり、カウンセラーあたりかな?と
問いかけると、なかなかどうして≪教員≫という答えがかえってきました。
心理学を修め、教育者となる!、、なかなかの選択です。
なになに!?!?それならば、話は早い!!ってなわけで、作戦変更です。
何も倍率の高い心理学部を狙わなくても、教員志望であるならばあまり倍率の出ていない大学の、
文系学部を受ける➝専攻学科・コースとは、別に教職課程を履修する➝教員採用試験を受ける➝採用を待つ→晴れて憧れの先生になる!!
その提案に親子共々納得し、心理系学部以外に、どの学部にしようか。それこそ偏差値にマッチした大学選びだ! さぁ出願だ!ということになりました。(^_^)/
しかし、どんでん返しは別れ際に起こりました。
私が聞いた、なにげない一言。
『教員志望なんだ。M君はよっぽど子供が好きなんだね?』
M君『子供!?~、あまり好きじゃないし、どっちかというと苦手かな(~_~;)。(苦笑)』
私の方が苦笑いでした。
が、意を決して、私は伝えました。
君の実力だと、多分、その大学の文学部には合格するであろう。ただし、君のような気持ちの人が教員になるのはいかがなものか、と思っていることを。
あくまでも教員を志すのであれば、次世代を担う子どもに対し、情熱がなければ・・・教員は、決して、安定した楽な稼業ではありません。子どものみならず、自分より年長である保護者との対応もあるし、学校という組織の中での役周りも厳しいものがある。現実に、教職員の精神疾患の罹病率がいやがおうにも高まってきている。
本人のみならず、サービスの受益者たる子どもにもしわ寄せがくる。やはり、根底にあるものが磐石なものでないと、つらい・きついだけの仕事になってしまう。
ということで、受験校選定が振り出しに戻りました。